多肉植物の輸入方法

多肉植物の画像

近年、ぷっくりとした形や尖った形など様々な形をしている多肉植物が人気です。

世界中から輸入されており、日本国内の小売店でもよく見かけるようになりました。

ここでは多肉植物を輸入する際の注意点や作業内容を解説していきますので、輸入にチャレンジする方は必見です。

 1.多肉植物について 

多肉植物は、肉厚な茎や葉に水を貯めることができる植物の総称です。

主な原産地はアフリカ・メキシコ・中央アメリカ・南アメリカ・アジア・オーストラリアなど、乾燥地域・半乾燥地域に幅広く分布しており、世界中から輸入されています。

サボテンを除く多肉植物は生育期によって3種類に分類でき、「春秋型」、「夏型」、「冬型」があります。

品種によってそれぞれ異なった生育時期があり、種類によって水やりや育て方が違いますが、葉に水を蓄える性質から水やりの頻度は少ないです。

他の植物に比べ過酷な環境で育ってきたのでとても丈夫で手間のかからない植物です。

 2.多肉植物の種類 

多肉植物は様々な種類がありますが、一部ご紹介します。
※多くの種が多肉化した科がある一方、一部の種のみが多肉化した科もあります。

属・種
サボテン 牡丹属、兜丸、花籠、コリファンタ、ディスコカクタス、白斜子など
リュウゼツラン アガベチタノタ、アガベ笹の雪、ノリナ、ユッカなど
トウダイグサ ユーフォルビアなど
アナナス チランジアなど
ベンケイソウ エケベリア、万物想、チレコドンなど
ユリ アロエなど

 3.近年の輸入動向 

多肉植物に限定した輸入統計はないため、上図はその他の多くの植物を含めた輸入統計になっています。

輸入量に着目すると安定した輸入商材と言えると思います。

金額については円安の影響もあってか増加しています。

 4.輸入する際の注意点 

✍植物検疫検査(農林水産省)

多肉植物は植物なので、到着港で植物検疫検査を受ける必要があります。

検疫検査を受けるには、産地が発行する証明書などが必要になります。

詳しくは「6.輸入通関「植物検疫検査」」で解説します。

✍ワシントン条約

多肉植物はワシントン条約に該当する品種があります。

輸入前に学術名を特定し、必ず該当の有無を確認してください。

詳しくは「7.ワシントン条約」で解説します。

 5.輸入時に必要な書類 

一連の手続きに必要な書類は次のとおりです。

書類名 書類作成者等
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。AWBとも言う。
SEA WAYBILL 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。
ARRIVAL NOTICE 海上輸送の場合、輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。
PHYTOSANITARY CERTIFICATE 輸出国の政府機関が発行。原本が必要。
CITES輸出許可書等 ワシントン条約に該当する場合、輸出国の政府機関が発行。原本が必要。

 6.輸入通関「植物検疫検査」 

多肉植物は植物なので、輸入の際に植物検疫検査を受ける必要があります。

✍植物検疫検査に必要な書類

書類名 書類作成者等
パッキングリスト 輸出者が作成。
複数品種を輸入する場合、内訳がわかる内容が必要。
AIR WAYBILL 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。AWBとも言う。
SEA WAYBILL 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。
PHYTOSANITARY CERTIFICATE 輸出国の政府機関が発行。原本が必要。

✍植物検疫検査の流れ

  1. 貨物到着
  2. 《植物検疫申請書》を作成
  3. 《パッキングリスト》《PHYTOSANITARY CERTIFICATE》 を《植物検疫申請書》に添付して植物防疫所に申請
  4. 輸入貨物を保税蔵置場に搬入後、輸入貨物の一部を植物防疫所検査場に移動
    ※保税蔵置所から検査場に移動させる際には保税運送の手続きをします。
  5. 植防官による現物検査(害虫や害虫の卵が付着していないかを検査します)
  6. 検査合格の場合 :《植物検査合格証明書》が発行され、税関申告時に合わせて提出します。
    検査不合格の場合:滅却、もしくは積み戻しとなります。
    ※輸入地での燻蒸処理は認められておりません。
    ※滅却をして、輸入しない場合は滅却承認申請を税関に提出します。
  7. 植防官の検査が終了したら、輸入貨物は保税蔵置場のもとの場所に戻します。

✍注意

《PHYTOSANITARY CERTIFICATE》がない場合や、不備がある場合は植物防疫法に基づき廃棄処分となります。

土もしくは土付きの植物は、輸入できません。

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 7.ワシントン条約 

輸入しようとしている植物がワシントン条約の対象となっているかどうかを事前に確認しましょう。

もし対象になっている場合は、附属書のクラス(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)ごとの輸入条件を事前にクリアする必要があります。

※「サボテン科」、「トウダイグサ科(トウダイグサ類)」「ユリ科(アロエ属)」等は全種がワシントン条約に該当するので必ず手続きが必要になります。
 (人工的に繁殖させた交配種又は栽培品種の標本で条約に該当しない植物もあるので注意が必要です。)

ワシントン条約は、自然のかけがえのない一部をなす野生動植物の特定の種が過度に国際取引に利用されることのないようこれらの種を保護することを目的とした条約です。

この条約は、絶滅のおそれがあり保護が必要と考えられる野生動植物を附属書Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの3つに区分し、附属書に掲載された種についてそれぞれの必要性に応じて国際取引の規制を行うこととしています。

附属書Ⅰ 附属書Ⅱ 附属書Ⅲ
記載基準 絶滅のおそれのある種で取引による影響を受けている又は受けるおそれのあるもの 現在は必ずしも絶滅のおそれはないが、取引を規制しなければ絶滅のおそれのあるもの 締約国が自国内の保護のため、他の締約国・地域の協力を必要とするもの
規制内容
  • 商業目的の取引は可能
    手続き方法
  • 《CITES輸出許可書等》又は
    《原産地証明書等》が必要
  • 種の保存法施行令別表第1表2の国内希少植物種の場合、事前確認が必要

表中の書類の発行・発給元は次のとおりです。

書類名 発行・発給元
CITES輸出許可書等 輸出国政府機関が発行。
輸出国のワシントン条約管理当局が発行した輸出を許可する書類(CITES輸出許可書・再輸出証明書・条約適用前証明書・繁殖証明書・商品見本証明書)
輸入承認証 日本の経済産業大臣が発行。
経済産業大臣が附属書Ⅰ該当種の輸入承認申請に対して承認した書類
事前確認証 日本の経済産業大臣が発行。
経済産業大臣が附属書Ⅱ、Ⅲ該当種の生きている動物や特定の国からの事前確認申請に対して確認した書類
原産地証明書等 輸出国の政府発行機関

はじめて輸入される方のフローチャート

ワシントン条約規制対象種の調べ方

※全リストはこちらをご確認ください→ワシントン条約附属書(植物界)

条約内容は随時更新されますので、輸入前にかならず経済産業省に確認しましょう。

経済産業省 ワシントン条約HPはこちら

✍参考

ワシントン条約に該当する多肉植物品種の抜粋です。
「▼」をクリックすると詳細が表示されます。

AGAVACEAE〈リュウゼツラン科〉 Agaves, bear-grass(アガヴェ類) 詳細▼
CACTACEAE〈サボテン科〉 Cacti(サボテン類) 詳細▼
EUPHORBIACEAE〈トウダイグサ科〉 Spurges(トウダイグサ類) 詳細▼
LILIACEAE〈ユリ科〉 Aloes(アロエ類) 詳細▼
CRASSULACEAE〈ベンケイソウ科〉 Roseroot(ローズルート) 詳細▼

 8.輸入通関「税関申告」 

✍HSコード・関税 ※2024年

❏多肉植物:0602.90-090:FREE

✍輸入申告に必要な書類

書類名 書類作成者等
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。AWBとも言う。
SEA WAYBILL 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。
ARRIVAL NOTICE 海上輸送の場合、輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。
植物検疫検査合格証明書 日本の農水省植物防疫所が発行。
CITES輸出許可書等 ワシントン条約に該当する場合、輸出国の政府機関が発行。原本が必要。

上記の書類をもとに《輸入申告書》を作成し、必要書類を添付して税関に申告します。

審査が終了し輸入関税・消費税を納税すると輸入許可となり貨物を引き取ることができます。

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 9.まとめ 

多肉植物はワシントン条約の確認や、日本到着時に植物検疫検査が必要など、輸入作業に関してはノウハウを必要とします。

特にワシントン条約の確認は非常に重要です。

海外輸出者が対応していなければ、そもそもビジネスになりませんので、念入りに事前確認をしましょう。

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