アメリカンチェリーの輸入方法

木箱に盛られたアメリカンチェリーの画像

アメリカンチェリーは季節商材であり、夏になると大量に輸入されてきます。

短期集中で採算性を整えねばならず、輸入通関で失敗は極力避けたいところです。

アメリカンチェリーは植物であり食品でもあるので、農林水産省と厚生労働省の申請が必要です。

一般貨物と比べるとハードルが高い商材ですので、このページを熟読してスムーズに輸入できるように準備をしましょう!

 1.アメリカンチェリーについて 

アメリカンチェリーとはその名の通りアメリカ合衆国から輸入されるチェリーの総称です。

主にアメリカ合衆国西海岸でとれるサクランボで、天候によって収穫量や品質に影響が出やすいとてもデリケートなフルーツです。

一般的な国産のさくらんぼと比べて粒は大きくとても食べ応えがあります。

また、糖度も高くとても甘いです。

アメリカンチェリーの旬は初夏から夏です。

産地によって収穫時期が異なり、カリフォルニア州から収穫が始まり、オレゴン州、ワシントン州と北上していきます。

アメリカ西海岸のアメリカンチェリー前線

 2.アメリカンチェリーの種類 

アメリカンチェリーにはいくつか種類があります。

✍ビング種

アメリカ合衆国西海岸北西部に位置するオレゴン州、ワシントン州で盛んに栽培されています。

ビングは大きく、色が濃く、実が引き締まっており丈夫なので船での輸送にも向いています。

日本に入るアメリカンチェリーの9割がビング種です。

✍レーニア種

黄味がかったクリーム色で、外見は佐藤錦に似ています。

気温、風、雨の影響を受けやすく、また、熟した実の1/3が鳥に食べられてしまう為、高価です。

果肉は柔らかく、甘みも非常に強い為、日本の方にはビングよりも好まれています。

✍ブルックス種

見た目はビング種に似ており、収穫時期が早い為、シーズンの初めに出回る品種です。

上記以外にもいくつか品種がありますが、日本に輸入されているのは主にビング種とレーニア種です。

 3.近年の輸入動向 

2022年は天候不順により生産量の低下により輸入金額、重量ともに減少していましたが、日本国内の需要に支えられて一定水準での輸入が行われているようです。

生産農家や現地商社の開拓のしがいがある商品と言えるかもしれません。

 4.輸入する際の注意点 

アメリカンチェリーは植物であり食品ですので、税関申告に加えて農林水産省と厚生労働省の検疫や届出が必要になります。

✍植物検疫検査(農林水産省)

アメリカンチェリーは植物なので、到着港で植物検疫検査を受ける必要があります。

検疫検査を受けるには、産地が発行する証明書などが必要になります。

虫の付着、外装表示、パッケージ封印の有無などが検査の対象になります。

詳しくは「6.輸入通関「植物検疫検査」」で解説します。

✍食品等輸入届出(厚生労働省)

アメリカンチェリーは食品なので、輸入時に「食品等輸入届出」が必要です。

詳しくは「7.輸入通関「食品等輸入届出」」で解説します。

 5.輸入時に必要な書類 

一連の手続きに必要な書類は次のとおりです。

書類名 書類作成者等
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。AWBとも言う。
SEA WAYBILL 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。
ARRIVAL NOTICE 海上輸送の場合、輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。
PHYTOSANITARY CERTIFICATE 輸出国の政府機関が発行。原本が必要。
食品等輸入届出済証 日本の厚労省食品監視課が発行

 6.輸入通関「植物検疫検査」 

アメリカンチェリーは植物なので、輸入の際に植物検疫検査を受ける必要があります。

✍植物検疫検査に必要な書類

書類名 書類作成者等
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。AWBとも言う。
SEA WAYBILL 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。
PHYTOSANITARY CERTIFICATE 輸出国の政府機関が発行。原本が必要。

✍植物検疫検査で確認される項目

アメリカ合衆国から輸入する際の注意点がいくつかあり、中でも重要な点について紹介します。

❏PHYTOSANITARY CERTIFICATEの記載事項

①生産地域の確認詳細▼

下記の情報が記載されていなければなりません。

  • アメリカ合衆国のうち、アメリカ合衆国植物防疫機関が濃密な病害虫防除が行われている地区として指定した地域で生産されたもの。
  • アメリカ合衆国のうち、アメリカ合衆国植物防疫機関がコドリンガについてトラップ調査及び生果実調査が行われる区域として指定した生産地で生産されたもの。

②生産地における検査及び証明書の確認詳細▼

下記の情報が記載されていなければなりません。

  • アメリカ合衆国植物防疫機関により検査された結果、検疫有害動植物が付着していないことが認められる、又は信ずるに値する旨
  • コドリンガに侵されていないものであること。
  • 消毒が行われたものであること、又はトラップ調査の結果トラップ一個当たりのコドリンガの誘殺虫数が規定値(*)を超えていない指定生産地で生産されたものであり、生果実調査の結果コドリンガの寄生がない指定生産地で生産されたものであること。
    *規定値:平均で一週間当たりカリフォルニア州においては十頭、アイダホ州、オレゴン州及びワシントン州においては三十頭

③梱包施設詳細▼

下記の情報が記載されていなければなりません。

  • 梱包施設は、アメリカ合衆国植物防疫機関が検疫有害動物について汚染防止措置が講じられているものとして指定した施設であること。

❏梱包封印

各梱包又は束ねた梱包には、アメリカ合衆国植物防疫機関による封印がなされていることを植物防疫所防疫官が貨物を全量確認します。

❏外装表示

梱包には、輸出植物防疫が終了している旨及び仕向地が日本である旨が表示がなされていることを植物防疫所防疫官が貨物を全量確認します。

✍植物検疫検査の流れ

  1. 貨物到着
  2. 《植物検疫申請書》を作成
  3. 《パッキングリスト》《PHYTOSANITARY CERTIFICATE》 を《植物検疫申請書》に添付して植物防疫所に申請
  4. 輸入貨物を保税蔵置場に搬入後、輸入貨物の一部を植物防疫所検査場に移動
    ※保税蔵置所から検査場に移動させる際には保税運送の手続きをします。
    ※検査場に移動させる前に、植防官が「封印」と「外装表示」を確認します。不備があった場合は、植物検疫検査を受けることができません。
  5. 植防官による現物検査(害虫や害虫の卵が付着していないかを検査します)
  6. 検査合格の場合 :《植物検査合格証明書》が発行され、税関申告時に合わせて提出します。
    検査不合格の場合:滅却、もしくは積み戻しとなります。※輸入地での燻蒸処理は認められておりません。
    ※滅却をして、輸入しない場合は滅却承認申請を税関に提出します。
  7. 植防官の検査が終了したら、輸入貨物は保税蔵置場のもとの場所に戻します。

▶▶▶植物検疫検査はアクセス・ジャパンにお任せください◀◀◀
お見積りは こちら から

 7.輸入通関「食品等輸入届出」 

アメリカンチェリーは食品なので、厚生労働省の食品監視課に「食品等輸入届出」の申請が必要となります。

✍食品等輸入届出の申請に必要な書類

書類名 書類作成者等
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL(AWB) 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。
SEA WAYBILL 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。

✍申請の流れ

貨物到着前に、上記の書類をもとに《食品等輸入届出書》を作成し、準備をします。

貨物到着後、食品監視課に申請をします。

審査に合格すると《食品等輸入届出済証》が発行されます。

▶▶▶食品申請はアクセス・ジャパンにお任せください◀◀◀
お見積りは こちら から

 8.輸入通関「税関申告」 

✍HSコード・関税 ※2024年

❏アメリカンチェリー(サワーチェリー除く):0809.29-000

  • 基本:10%
  • WTO協定:8.5%
  • 日米貿易協定:FREE

✍輸入申告に必要な書類

書類名 書類作成者等
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。AWBとも言う。
SEA WAYBILL 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。
ARRIVAL NOTICE 海上輸送の場合、輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。
植物検疫検査合格証明書 日本の農水省植物防疫所が発行。
食品等輸入届出済証 日本の厚労省食品監視課が発行。

上記の書類をもとに《輸入申告書》を作成し、必要書類を添付して税関に申告します。

審査が終了し輸入関税・消費税を納税すると輸入許可となり貨物を引き取ることができます。

▶▶▶通関申告はアクセス・ジャパンにお任せください◀◀◀
お見積りは こちら から

 9.まとめ 

アメリカンチェリーは温度変化に弱い作物です。

目安としては10℃位をキープする必要があります。

海外からKEEP COOL状態で輸送する場合には、日本国内においても保冷車などを使用しましょう。

輸入が初めてで進め方がわからない、現在輸入を進めているがこの進め方であっているのか不安だという方は国際物流コンサルティングサービスをご検討ください。

短期集中の伴走型のコンサルティングです。

まずは無料のヒアリングをさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。

コンサルティングの詳細は こちら

 お問い合わせはこちら 

些細なことでも構いません。
お気軽にお問い合わせください。

個人用ボタン
法人用ボタン
悩み相談ボタン