公開日:2022/08/25 /
※このページではまぐろの輸出にチャレンジしようとしている方や、現在進行中だけどうまく行っていない方に最適なページです。
1.はじめに
ここ数年の日本食ブームにより世界中から日本の食材が注目されています。
生魚を食べる習慣が無かった外国人も寿司などの日本食に触れる機会が増え、日本食材の需要が高まっています。
今回は日本が誇る寿司ネタの王道、まぐろの輸出方法について解説します。
2.まぐろの種類
まぐろには様々な種類があり、それぞれHSコードや輸出に必要な証明書が異なります。
魚種 | HSコード (ラウンド・セミドレス・ドレス) |
証明書の要否 ※1 |
|
---|---|---|---|
冷蔵 (Refrigerated) |
冷凍 (Frozen) |
||
大西洋くろまぐろ | 0302.35-100 | 0303.45-100 | 必要 |
太平洋くろまぐろ | 0302.35-200 | 0303.45-200 | 必要 |
みなみまぐろ | 0302.36-000 | 0303.46-000 | 必要 |
めばちまぐろ | 0302.34-000 | 0303.44-000 | 必要 |
めかじき ※2 | 0302.47-000 | 0303.57-000 | 必要 |
かじき ※2 | 0302.49-000 | 0303.59-020 | 不要 |
びんながまぐろ | 0302.31-000 | 0303.41-000 | 不要 |
きはだまぐろ | 0302.32-000 | 0303.42-000 | 不要 |
※1.証明書については次項で解説します。
※2.「まぐろ」はサバ科ですが、「かじき」はマカジキ科に「めかじき」はメカジキ科に属します。
そのため「かじき」と「めかじき」は「まぐろ」ではありませんが証明書の関係で、一緒に解説していきます。
3.各種証明書について
証明書が必要なまぐろは種類によって、輸出のために証明書と取得方法が異なります。
✍証明書の種類
証明書は以下のように分類されます。
魚種 | 証明書 |
---|---|
大西洋くろまぐろ | 漁獲証明書 |
太平洋くろまぐろ | |
みなみまぐろ | 輸出証明書 |
めばちまぐろ | 統計証明書 |
めかじき |
✍取得方法
漁獲証明書 | 輸出証明書 統計証明書 |
|
申請場所 | こちらを参照 | 〒100-8907 東京都千代田区霞が関1-2-1 農林水産省本館8階 水産庁漁政部加工流通課水産物貿易対策室 TEL:03-3502-8111(内6610) |
---|---|---|
申請時間 | 月曜日から金曜日(祝日を除く。) 午前10時から12時まで |
|
発行日数 | 申請窓口に確認 ※他社の申請状況によるため |
当日中発行希望の場合は その旨を記載して12時前までに申請。 ※他社の申請状況による |
申請方法 | メールまたは郵便 ※郵便の場合は返信用封筒を同封 ※メールアドレスは電話にて確認 |
詳しくは水産庁HP:マグロ類の輸出手続きについて
✍書類の輸送
取得した証明書は、フォワダー(通関会社)が発行するAWBにアタッチし、貨物と一緒に飛行機で送ることが出来ます。
証明書を取得したらフォワダー(通関会社)に預け、AWBにアタッチするよう依頼をしましょう。
なお、証明書は輸出通関では使用しないので、取得後に輸出者自身で輸出先に送っても差し支えありません。
※ICCAT等の加盟国でない場合は、送る必要はありません。
4.輸出通関について
✍輸出通関に必要な書類
輸出通関に必要な書類は以下のとおりです。
書類名 | 書類作成者等 |
---|---|
インボイス | 輸出者が作成。 インコタームズ、商品名、学名、個数、単価、金額、合計金額を記載。 |
パッキングリスト | 輸出者が作成。 商品名、材質、個数、重量を記載。 |
※インボイスとパッキングリストは情報が重複する部分が多いので「INVOICE & PACKING LIST」として内容を1枚に集約しても構いません。
※まぐろの証明書は輸出通関時には使用しません。
❏インボイス・パッキングリストのサンプルを用意しました。
ダウンロードしてお使いください。
✍輸出HSコード
輸出HSコードは保存方法(冷蔵・冷凍)と加工形状(ラウンド・セミドレス・ドレス・フィレ)によって異なります。
魚種 英名 (学名) |
ラウンド・ セミドレス・ドレス |
フィレ | 証明書 | ||
---|---|---|---|---|---|
冷蔵 | 冷凍 | 冷蔵 | 冷凍 | ||
大西洋くろまぐろ Northern Bluefin tuna (Thunnus thynnus) |
0302. 35-100 |
0303. 45-100 |
0304. 49-100 |
0304. 87-100 |
漁獲証明書 |
太平洋くろまぐろ Pacific Bluefin tuna (Thunnus orientalis) |
0302. 35-200 |
0303. 45-200 |
0304. 49-100 |
0304. 87-100 |
漁獲証明書 |
みなみまぐろ Southern Bluefin tuna (Thunnus maccoyii) |
0302. 36-000 |
0303. 46-000 |
0304. 49-100 |
0304. 87-100 |
輸出証明書 |
めばちまぐろ Bigeye tuna (Thunnus obesus) |
0302. 34-000 |
0303. 44-000 |
0304. 49-100 |
0304. 87-100 |
統計証明書 |
めかじき Sword fish (Xiphias gladius) |
0302. 47-000 |
0303. 57-000 |
0304. 49-100 |
0304. 87-100 |
統計証明書 |
かじき Marlin (Istiophoridae) |
0302. 49-000 |
0303. 59-020 |
0304. 49-100 |
0304. 87-100 |
– |
びんながまぐろ Albacore tuna (Thunnus alalunga) |
0302. 31-000 |
0303. 41-000 |
0304. 49-100 |
0304. 87-100 |
– |
きはだまぐろ Yellowfin tuna (Thunnus albacares) |
0302. 32-000 |
0303. 42-000 |
0304. 49-100 |
0304. 87-100 |
– |
保存方法と加工形状についてちょっと詳しく。
■保存方法
名称 | 温度帯 |
---|---|
冷蔵 | 0℃~15℃程度 |
冷凍 | -15℃以下 |
■加工形状
名称 | 形状 |
---|---|
ラウンド |
加工をしない原型のままのもの。 丸(まる)とも呼ばれる。 |
セミドレス (G&G) |
腹部を開き、エラと内蔵を除去したもの。 ドレスの前段階の呼称。 G&G:Gilled(エラ)とGutted(内蔵)のこと。 |
ドレス (H&G) |
セミドレスから頭部を除去したもの。 無頭(ヘッドレス)の状態を略したという説あり。 H&G:Head(頭)とGutted(内蔵)のこと。 |
フィレ (FILLET) |
ドレスを3枚におろしたもの。 |
✍税関への申告
インボイス・パッキングリストをもとに《輸出申告書》を作成します。
《輸出申告書》にインボイス、パッキングリスト等必要書類を添付して申告します。
審査が完了し、問題が無ければ《輸出許可書》が発行されます。
※《輸出許可書》は輸出者がインボイス等の輸出書類とともに5年間保存する必要があります。
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5.全体的なスケジュール
✍フライト時刻 17:00の場合
時刻 | 作業内容 | 備考 | |
---|---|---|---|
フライト 前日まで |
輸出者が証明書等取得を取得して 通関業者に フライト当日の11:30までに届ける |
まぐろ証明書 原産地証明書 衛生証明書等 |
|
フライト 当日 |
10:00 | 輸出者から通関業者へ インボイス、パッキングリストをメール送信する |
|
11:30 | ・フォワダーに証明書到等の書類が到着
・空港に貨物到着 |
AM必着 | |
14:00 | 梱包,リアイス作業,ラベル貼り,輸出通関 完了 | ||
15:00 | 空港の共同上屋から航空会社上屋へ貨物が移動 | ||
17:00 | フライト |
✍フライト時刻 10:00の場合
時刻 | 作業内容 | 備考 | |
---|---|---|---|
フライト 前々日まで |
輸出者が証明書等取得を取得して |
まぐろ証明書 原産地証明書 衛生証明書等 |
|
フライト 前日 |
15:00 | ・輸出者から通関業者へ インボイス、パッキングリストを メール送信する ・フォワダーに証明書到等の書類が到着 ・空港に貨物到着 |
|
17:00 | 梱包,リアイス作業,ラベル貼り,輸出通関 完了 | ||
フライト 当日 |
7:00 | 空港の共同上屋から航空会社上屋へ貨物が移動 | |
10:00 | フライト |
※使用する航空会社によってカット時間が異なるので、上記は参考例として認識してください。
使用する航空会社が決定したら、再度スケジュールを調整することになります。
6.まとめ
まぐろは日本の主要な輸出食品ですが、証明書の取得など綿密なスケジュール調整が必要になります。
また、リアイス作業などが必要な場合は、更に複雑になります。
こちらのページも合わせて参照してください。
水産物、まぐろの輸出には通関業者(フォワダー)との連携が不可欠です。
上記の知識を持って取り組めば、通関業者(フォワダー)との連携もスムーズになるでしょう。
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