公開日:2020/12/21 /
弊社には「はちみつ」の輸入に関してのお問い合わせが多く寄せられております。
ここでは天然はちみつの輸入に関して事前に確認しておくべき事項を解説いたします。
2021年1月8日ニュージーランド産のはちみつに限り、命令検査が実施されることになりました。
※2022年2月8日に命令検査は解除され、モニタリング検査30%に緩和されました。
1.天然はちみつとは
天然はちみつ と人造はちみつ は関税率が異なります。
天然はちみつ として輸入しても、税関が人造はちみつ と判断してしまうと、人造はちみつ の高い関税率が適用されてしまいます。
そこで重要なポイントとなる天然はちみつ の定義と判断材料を次のように税関が定めています。
✍天然はちみつの定義
関税を確定する天然はちみつの定義は下記のとおりです。
天然はちみつは、しょ糖分の含有量が全重量の5%以下、果糖の含有量が全重量の 30% 以上のものであって、かつ、全糖分中に占める果糖の割合が 50%以上のものをいいます。
✍判断材料
輸入申告に際し次の条件のどちらかを満たす場合、上記成分の確認については下記の分析表の値を認めて差し支えないとされています。
- 輸出国の公的機関が発行する成分分析表が提出された場合
- 輸出者又は輸出国のメーカーが分析したものを商工会議所等の公的機関が証明した場合
また次の条件を両方とも満たす場合、天然はちみつとして取り扱われます。
- 輸出国の公的機関の発行する《品質証明書》(※)が提出されていること
- 当該品の性状、分析結果等を総合的に勘案して関税率表第 0409.00 号の天然はちみつと認められるものであること
※原産地及び蜜源 花の種類が明記されているもの
✍ニュージーランド原産の天然はちみつの取扱いについて
ニュージーランド原産のはちみつについては、輸入申告等の際にニュージーランド農林省 (*1)発行の《証明書(*2)》の提出があったものに限り、関税率表の番号第 04.09 項に該当する天然はちみつ として取り扱われます。
*1:Ministry of Agriculture and Forestry
*2:Official Certificate Accompanying Honey to Japan
以上が税関が定めている定義及び判断材料になります。
2.輸入前に確認すること
◯天然はちみつか?人造はちみつか?
※関税率が違うため原価に大きく影響します。
※輸入前に税関に必要書類を確認してもらい天然はちみつか人造はちみつ かを判定してもらいます。
◯産地の確認。ニュージーランド産か否か?
◯通関を依頼する通関業者は食品輸入に対応しているか否か?
アクセス・ジャパンは対応しております!
3.必要書類の確認
一連の手続きに必要な書類は次のとおりです。
書類名 | 書類作成者等 |
---|---|
製造工程表 | 製造工場が作成。(※1) |
原材料表 | 製造工場が作成。(※1) |
インボイス | 輸出者が作成。 |
パッキングリスト | 輸出者が作成。 |
AIR WAYBILL | 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。AWBとも言う。 |
SEA WAYBILL | 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。 |
ARRIVAL NOTICE | 海上輸送の場合、輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。 |
品質証明書 | 輸出国の公的機関による成分分析表。 |
原産地証明書 | 特恵関税を適用させる場合に必要。FORM Aともいう。 |
特定原産地証明書 | EPAを適用させる場合に必要。 |
ニュージーランド農水省発行の証明書(※2) | ニュージーランド産の天然はちみつの場合に必要。 |
食品等輸入届出済証 | 日本の厚労省食品監視課が発行。 |
※1製造工程表及び原材料表は、現地工場の情報を元に輸入者が作成しても良いです。
書類の修正などが発生した場合、現地工場に修正を求めるよりも、輸入者自身で作成したほうがスムーズに進む場合があります。
※2ニュージーランド農林省 (Ministry of Agriculture and Forestry)発行の証明書(Official Certificate Accompanying Honey to Japan)
4.輸入通関「食品等輸入届出」
はちみつ は食品ですので、厚労省の食品監視課に「食品等輸入届出」が必要になります。
✍食品等輸入届出の申請に必要な書類
書類名 | 書類作成者等 |
---|---|
製造工程表 | 製造工場が作成。(※) |
原材料表 | 製造工場が作成。(※) |
インボイス | 輸出者が作成。 |
パッキングリスト | 輸出者が作成。 |
※製造工程表及び原材料表は、現地工場の情報を元に輸入者が作成しても良いです。
書類の修正などが発生した場合、現地工場に修正を求めるよりも、輸入者自身で作成したほうがスムーズに進む場合があります。
✍申請の流れ
上記の書類をもとに《食品等輸入届出書》を作成し食品監視課に申請をします。
審査に合格すると《食品等輸入届出済証》が発行されます。
使用している原材料によっては食品監視課から自主検査の指導が入る場合があります。
その場合は自主検査を実施し検査の結果が問題なければ《食品等輸入届出済証》が発行されます。
※検査の結果が日本の食品衛生法の基準に満たない場合は積戻し、もしくは廃棄になります。
✍命令検査について
2021年1月8日より、「ニュージーランド産はちみつ、その加工品」について、命令検査が義務付けられました。
検査項目:グリホサート(除草剤)費用:1種類あたり27,000円~ ※検査可能な機関は限られています。分析期間:10日前後
検査で合格するまで商品は保税蔵置所から持ち出すことができませんので、通常よりも納期がかかります。
また、検査で基準値以上の数値が出た場合、積戻しもしくは滅却となってしまうので注意が必要です。
アクセス・ジャパンでは命令検査の手配から、不合格時の滅却まで一貫して対応が可能です。
2022年2月8日に命令検査は解除され、代わりにモニタリング検査30%(3シップメントに1回の割合)に緩和されました。
モニタリング時には厚生省食品監視課による検体のサンプリングが行われますので、一定数量持ち出されてしまいます。
5.輸入通関「税関申告」
✍HSコード・関税 ※2022年4月
❏天然はちみつ:0409.00-000
- 基本:30%
- WTO協定:25.5%
- 特別特恵LDC:FREE
- 経済連携協定(EPA):
メキシコ:FREE(*1)
豪州 :4.6%(*1)
ベトナム・モンゴル:12.8%(*1)
ASEAN:25.5%
TPP11:9.5%
EU・英国:9.6%
RCEP(*2):25.5%
以下全て:適用なし
- シンガポール・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア・ブルネイ
- フィリピン・スイス・インド・ペルー・RCEP(中国・韓国)
- 日米貿易協定:9.5%
*1:関税割当数量以内のもの
*2:ASEAN・豪州・ニュージーランド
❏人造はちみつ:1702.90-290
- 基本:50%または25円/kg(*1)
- WTO協定:50%または25円/kg(*1)
- 特別特恵LDC:FREE
- 経済連携協定(EPA):
TPP11:27.2%または13.64円/kg(*1)
EU・英国:27.3%または13.64円/kg(*1)
以下全て:適用なし
- シンガポール・メキシコ・マレーシア・チリ・タイ
- インドネシア・ブルネイ・ASEAN・フィリピン・スイス
- ベトナム・インド・ペルー・豪州・モンゴル
- RCEP(ASEAN・豪州・ニュージーランド・中国・韓国)
- 日米貿易協定:27.2%または13.64円/kg(*1)
*1:いずれか高い税率
✍輸入申告に必要な書類
書類名 | 書類作成者等 |
---|---|
製造工程表 | 製造工場が作成。(※1) |
原材料表 | 製造工場が作成。(※1) |
インボイス | 輸出者が作成。 |
パッキングリスト | 輸出者が作成。 |
AIR WAYBILL | 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。AWBとも言う。 |
SEA WAYBILL | 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。 |
ARRIVAL NOTICE | 海上輸送の場合、輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。 |
品質証明書 | 輸出国の公的機関による成分分析表。 |
原産地証明書 | 特恵関税を適用させる場合に必要。FORM Aともいう。 |
特定原産地証明書 | EPAを適用させる場合に必要。 |
ニュージーランド農水省発行の証明書(※2) | ニュージーランド産の天然はちみつの場合に必要。 |
食品等輸入届出済証 | 日本の厚労省食品監視課が発行。 |
※1製造工程表及び原材料表は、現地工場の情報を元に輸入者が作成しても良いです。
書類の修正などが発生した場合、現地工場に修正を求めるよりも、輸入者自身で作成したほうがスムーズに進む場合があります。
※2ニュージーランド農林省 (Ministry of Agriculture and Forestry)発行の証明書(Official Certificate Accompanying Honey to Japan)
✍輸入申告
上記の書類をもとに《輸入申告書》を作成します。
税関で天然はちみつ と認められたものは《食品等輸入届出済証》を添えて申告します。
審査が終了し輸入関税・消費税を支払うと輸入許可となり貨物を引き取ることができます。
6.まとめ
上記のとおり天然はちみつを輸入するには検査が必要な為、少々お時間と手間が掛かり躊躇される方も少なくありません。
安全に輸入するには正しい知識と手順を知ることが重要です。
進め方に不安や不明点がある方は国際物流コンサルティングサービスをご検討ください。
アクセス・ジャパンではその不安を一緒に解消しつつ、輸入貿易を成功に導くノウハウをお伝えします。
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