公開日:2023/06/28 /
※このページは、犬・猫の輸入に際して知っておくべき情報を解説しています。
これから犬・猫の輸入を行う方は必見です。
1.犬・猫の輸入について
日本に輸入される犬、猫は、狂犬病やレプトスピラ症(犬のみ)について輸入検査を受ける必要があります。
「狂犬病が無い国」と「狂犬病がある国」では輸入手続きが異なりますので、注意が必要です。
輸出国政府が発行した《衛生証明書》の提出を含む、届出要件を満たさない場合、輸入者・持込者の責任で、その動物を持ち出し国に返送するか、殺処分しなければなりませんので、事前の確認が重要になります。
犬・猫の国際輸送は、「携帯品(受託手荷物)」と「貨物輸送」の2パターンあります。
ここでは「貨物輸送」を想定した解説をしていきます。
2.対応できる空港・海港
✍犬を輸入できる空港・海港(指定港)
犬は輸入できる空港・海港が限定されています。
❏空港:
新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港(羽田)、中部国際空港、関西国際空港、北九州空港、福岡空港、鹿児島空港、那覇空港
❏海港:
苫小牧港、京浜港、名古屋港、阪神港、関門港、博多港、鹿児島港、那覇港
※アクセス・ジャパンでは成田空港のみ対応しております。
✍猫を輸入できる空港・海港
上記「犬を輸入できる空港・海港」以外には動物検疫所職員が駐留していません。
そのため、上記の指定港以外に到着する場合は事前に「動物検疫所」に相談する必要があります。
なお、指定港以外の空港・海港では係留ができないため、「係留がないこと」が条件になります。
3.輸入通関「動物検疫について」
日本に輸入される犬・猫は、狂犬病予防法及び家畜伝染病予防法(犬のみ)に基づく輸入検疫・手続きが必要です。
さらに、「狂犬病が無い国」からの輸入と、「狂犬病がある国」からの輸入では、手続きが変わるので注意が必要です。
✍3-1.指定地域と指定地域以外について
狂犬病が無い国のことを指定地域と呼び、狂犬病がある国のことを指定地域以外と呼びます。
指定地域は次のとおりです。
・アイスランド | ・オーストラリア | ・ニュージーランド |
・フィジー諸島 | ・ハワイ | ・グアム |
※上記以外の国は指定地域以外となります。
❏指定地域からの輸入について
指定地域から輸出され、かつ下記のいずれかの条件に該当しなければなりません。
- 出生以来、指定地域のみで飼養されていること。
- 日本へ輸出される直前の180日間以上、指定地域のみで飼養されていること。
- 日本から輸出されて以来、指定地域のみで飼養されていること。
※いずれにも該当せず、指定地域で飼養されていた日数が180日未満の場合は、日本到着後、不足日数(180日から指定地域で飼養されていた日数を差し引いた日数)の間、動物検疫所の係留施設で係留検査を受けることになります。
❏指定地域以外からの輸入について
輸出国側において多くの処置や手続きが必要になります。
これらを行っていない犬・猫は、動物検疫所の係留施設で係留検査(最長180日間)を受けることになり、検査の結果、輸入が認められないことがあります。
✍3-2.動物検疫について
指定地域からの輸入と、指定地域以外からの輸入では必要な手続きが異なります。
処置や手続き | 指定地域からの輸入 | 指定地域以外からの輸入 |
---|---|---|
1.マイクロチップの埋め込み | ◯ | ◯ |
2.狂犬病予防注射(1回目) | - | ◯ |
3.狂犬病予防注射(2回目) | - | ◯ |
4.狂犬病抗体検査(血清検査) | - | ◯ |
5.輸出前待機 | - | ◯ |
6.事前届出 | ◯ | ◯ |
7.輸出前検査 | ◯ | ◯ |
8.輸出国の証明書取得 | ◯ | ◯ |
9.輸送に関する手続き | ◯ | - |
10.輸入検査 | ◯ | ◯ |
❏日本に到着する前の事前準備
事前準備は輸入者自身で対応しなければなりません。
事前準備が不十分だと、日本到着後に想定外の係留が発生したり、最悪は輸入が許可されないこともありますので、しっかりと理解しましょう!
1.マイクロチップの埋め込み詳細▼
[指定地域からの輸入、指定地域以外からの輸入]
輸出国において、輸出検査前までにマイクロチップを埋め込みます。
マイクロチップは動物病院で埋め込みができます。
動物病院における検査・処置の都度、マイクロチップ番号が読み取り機(リーダー)で確実に読み取れることを確認。
※マイクロチップは国際標準規格(ISO)11784及び11785に適合しているもので、番号が数字のみで15桁のものを使用。
2.狂犬病予防注射(1回目)詳細▼
[指定地域以外からの輸入]
1回目の狂犬病予防注射をします。
生後91日齢以降(生まれた日を0日目とします)に接種しなければなりません。
※マイクロチップは接種前に埋め込んでください。同日可です。
3.狂犬病予防注射(2回目)詳細▼
[指定地域以外からの輸入]
1回目の狂犬病予防注射から30日以上(接種日を0日目とします)の間隔をあけて、かつ、1回目の狂犬病予防注射の有効免疫期間内に接種しなければなりません。
※有効免疫期間を過ぎてから接種した場合は「追加接種」と認められず、1回目の狂犬病予防注射からやり直すことになります。
※有効免疫期間内に日本に到着しない場合、追加接種が必要になりますので注意してください。
製品により有効免疫期間は異なりますので、接種した獣医師に確認してください。
4.狂犬病抗体検査(血清検査)詳細▼
[指定地域以外からの輸入]
- 指定検査施設に血液(血清)を送り、狂犬病に対する抗体価を測定します。
2回目の狂犬病予防注射の後(同日可)、動物病院で採血し、日本の農林水産大臣が指定する検査施設(指定検査施設)で狂犬病抗体検査を受けます。
指定検査施設は こちら - 検査結果は狂犬病に対する抗体価(免疫抗体の量)が0.5IU/ml 以上でなければなりません。
- 指定検査施設は狂犬病抗体検査結果通知書を発行しますので、それを日本到着時に動物検疫所に提示します。
ただし、1回目の狂犬病予防注射から日本に到着するまでの間、狂犬病予防注射の有効免疫期間が1日も途切れることなく、継続的に追加接種されている必要があります。
5.輸出前待機詳細▼
[指定地域以外からの輸入]
狂犬病抗体検査の採血日を0日目として、180日間以上待機します。
犬・猫は、採血日から180日間以上待機した後、「狂犬病予防注射の有効免疫期間」及び「狂犬病抗体検査の有効期間」内に日本に到着しなければなりません。
採血日から180日間以上待機せずに日本に到着した犬・猫は、不足する日数の間、動物検疫所の係留施設で係留検査を受けることになります。
6.事前届出詳細▼
[指定地域からの輸入、指定地域以外からの輸入]
7.輸出前検査詳細▼
[指定地域からの輸入、指定地域以外からの輸入]
出国直前(搭載前10日以内)に、民間獣医師または政府機関の獣医官による臨床検査を受け、下記を確認します。
◯犬:狂犬病及びレプトスピラ症にかかっていない又はかかっている疑いがないこと。
◯猫:狂犬病にかかっていない又はかかっている疑いがないこと。
8.輸出国の証明書取得詳細▼
[指定地域からの輸入、指定地域以外からの輸入]
輸出国政府機関が発行する証明書を取得します。
証明書は以下の推奨様式(FormAB)をダウンロードして使用。
【証明書素性様式(FormAB)ダウンロード 】※2023年6月現在 動物検疫所ウェブサイトより
民間獣医師が必要事項を記載し、輸出国政府機関の裏書き証明(endorsement)を取得する流れとなります。
証明書の不備を防ぐため、事前に証明書の内容確認を動物検疫所に依頼することを推奨します。
確認方法は、必要事項を記入した証明書(または下書き)を、FAX または電子メールで、届出を受理した動物検疫所に送信します。
取得した証明書に不備がある場合、最長180日間の係留検査または返送処分となりますので注意しましょう。
裏書き証明として、輸出国政府機関の獣医官の署名(直筆)、公印、所属機関名、証明日が必要です。
裏書き証明が完備していない場合、輸出国政府機関が発行した証明書とは認められません。
輸出国によっては、民間獣医師に代わり、輸出国政府機関の獣医官が全ての事項を記載する場合がありますが、必要事項が完備していれば問題ありません。
9.輸送に関する手続き詳細▼
[指定地域からの輸入]
ここまでが輸入者自身で必ず準備しなければならない作業です。
ここまでをしっかり行っておけば、日本到着後は通関会社に依頼することが可能です。
空港まで出向くことが困難な輸入者は早い段階で通関会社に依頼するとよいでしょう。
❏日本に到着後の手続き
日本到着後の輸入検査等の代行作業は通関業者に依頼することができます。
10.日本到着後の輸入検査詳細▼
[指定地域からの輸入、指定地域以外からの輸入]
犬・猫は日本到着後、遅滞なく到着空海港の動物検疫所で輸入検査を受ける必要があります。
輸入検査には、「A.到着時検査」と「B.係留施設での係留検査」があります。
◯A.到着時検査:
到着時検査で問題がない場合、輸入検疫証明書が交付され、税関への申告へと続きます。
◇必要書類
・輸入検査申請書・・・申請時に作成
・輸出国政府が発行する証明書
・動物検疫「届出書」
・委任状・・・通関業者以外の代理人が手続きをする場合
・その他、動物検疫所が指示する書類(ANNEXなど)
◯B.係留施設での係留検査:
輸入条件を満たさない場合、動物検疫所の係留施設で最長180日間の係留検査を行います。
係留期間を満了し、犬・猫の健康状態に異常がない場合は、輸入検疫証明書が交付され、税関への申告へと続きます。
◇費用について
動物検疫所が行う検査費用は無料ですが、その他の費用は輸入者負担となります。
以下、発生する可能性のある費用
・到着空海港から係留施設までの輸送費(輸入者による輸送は認められていません)
・係留検査中の飼養管理費(餌、使用房の清掃消毒等にかかる費用)
・係留施設の水道光熱費
・獣医師の往診費(依頼した場合)
・係留中に返送する場合に要する費用
・係留施設の修理等、原状回復にかかる費用
・その他の必要経費
4.輸入通関「税関申告」
動物検疫をクリアしたら、次は税関へ輸入申告となります。
✍関税・HSコード
❏生きている犬・猫:0106.19-090
- 基本:FREE
- WTO協定:FREE
- 経済連携協定(EPA):
以下すべて:FREE
シンガポール・メキシコ・マレーシア・チリ・タイ
インドネシア・ブルネイ・ASEAN・フィリピン・スイス
ベトナム・インド・ペルー・豪州・モンゴル・TPP11(CPTPP)
EU・英国・RCEP(ASEAN・豪州・ニュージーランド・中国・韓国) - 日米貿易協定:適用なし
✍税関申告に必要な書類
書類名 | 書類作成者等 |
---|---|
インボイス | 輸出者が作成。 |
動物検疫合格書 | 動物検疫所が発行 |
AIR WAYBILL(AWB) | 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。 |
SEA WAYBILL | 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。 |
ARRIVAL NOTICE | 海上輸送の場合、輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。 |
✍税関へ申告
上記の必要書類をもとに《輸入申告書》を作成し、必要書類を添付して税関に申告します。
書類名 | 書類作成者等 |
---|---|
インボイス | 輸出者が作成。 |
パッキングリスト | 輸出者が作成。 |
絵型(えがた) | 商品の形状(写真)や、材質がわかるもの。 靴底・甲の材質は必須。 |
AIR WAYBILL(AWB) | 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。 |
SEA WAYBILL | 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。 |
ARRIVAL NOTICE | 海上輸送の場合、輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。 |
審査が終了し輸入関税・消費税を納税すると輸入許可となり動物を引き取ることができます。
トラックでの当日配送も可能ですが、輸送時間があまりに長時間となる遠方のお客様は、空港までお迎えになることをお勧めします。
事前準備が整いましたら、是非とも弊社へご依頼ください。
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5.まとめ
弊社にはペットの輸入に関する相談が多く寄せられております。
ほとんどのお客様は事前準備ができていないため、輸入スケジュールを大きく変更されています。
事前準備は思った以上に時間がかかります。
- 1回目の予防注射から2回目の予防注射まで最低30日間
- 狂犬病抗体検査の待機期間180日
- 日本の動物検疫所に提出する「事前届出」が到着の40日前までに
主だった日数は上記の3項目ですが、余裕を持って準備をしましょう。
日本到着後の作業に関しては弊社(通関会社)が代行することができます。
事前準備が整いましたら弊社(通関会社)へご依頼ください。
今後継続的に事業として輸入を検討されている方で、進め方に不安や不明点がある方は国際物流コンサルティングサービスをご検討ください。
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