公開日:2022/10/07 /
※このページは、新たに代替肉の輸入にチャレンジする人にとって最適なページです。
事前に確認すること、輸入で注意することなど一通りの情報を知ることができます。
1.代替肉とは
従来の家畜肉の代替えとして作られた食品であり、大豆などの植物を素材として、肉のような味覚と栄養価を再現したものです。
代替肉は畜産業による大量の穀物消費の対策となり、畜産由来で大気中に排出されるメタンガスの温室効果が問題となっていることから、温暖化対策にもなると言われてます。
このような代替肉は、大きく2つに分けられます。
✍植物肉
プラントベー スミート、オルタナティブミート、フェイクミートとも呼ばれます。
主な原材料は大豆、小麦です。
※少量ではありますが、えんどう豆・そら豆もあります。
主な原料が大豆の場合は大豆ミート、小麦の場合はグルテンミートと呼ばれます。
植物肉と言っても動物性由来の原料を含む場合もあるので、菜食主義(ビーガン)に対応していない場合があるので注意が必要です。
✍培養肉
動物の個体からではなく、可食部の細胞を組織培養して得られた肉です。
培養技術を用いた肉ですが、まだ試験段階のため市場には出回っていません。
以下、代替肉は植物肉を前提として解説していきます。
2.代替肉の需要
市場調査会社のジオンマーケットリサーチ(Zion MarketResearch)の推計によれば2018年に119億ドルだった植物肉の世界市場の規模は、2025年には212億ドル(成長率78%)になる(出典:日本経済新聞2019年9月6日)と予測しています。
一方日本では、アメリカとは違い「肉を食べすぎている」という状況にはありません(肉の消費量はアメリカ人の半分以下といわれています)。
また大豆の消費に関しては豆腐や納豆などを普段から消費しているため、あえて積極的に接種しなくても足りている状況にあります。
上記の理由から、欧米ほど爆発的な拡大はしないという見方もあります。
しかしながら、日本人の肉の消費量は年々上がっており、また外国人旅行客の増加などの外部的な要因(菜食主義者や肉を食べたくない健康重視者などの来日)は無視できないものがあります。
アメリカやヨーロッパで流行っているものは遅れて日本で流行ることも多いので、今から輸入にチャレンジするのも良いのではないでしょうか。
3.輸入前に確認すること
✍製造工程表・原材料表の確認
代替肉は加工食品ですので、様々な原材料、添加物を使用している場合があります。
製造工程や使っている原材料によっては、日本に輸入できない場合があります。
例えば、製造工程で殺菌に放射線を使用しているとか、日本で使用できない添加物が含まれているなどなど。
これらの確認は日本に到着してからでは遅く、必ず事前に確認しましょう。
❏相談に必要な書類
- 製品説明書
- 原材料表
- 製造工程表
❏確認は各港の食品監視課輸入相談室にお問い合わせください。
✍冷凍品の場合の確認
冷凍品の場合は追加で下記の確認が必要です。
- 加熱して食べるものか?or 加熱をせずに食べるものか?
- 商品の凍結直前に加熱されたものか?or 商品の凍結直前に加熱していないものか?
※5.輸入通関「食品等輸入届出」の規格検査の際に上記の確認が必要になります。
4.必要書類
輸入手続きに必要な書類は以下のとおりです。
書類名 | 書類作成者等 |
---|---|
製造工程表 | 製造工場が作成(※)。 |
原材料表 | 製造工場が作成(※)。 |
インボイス | 輸出者が作成。 |
パッキングリスト | 輸出者が作成。 |
AIR WAYBILL(AWB) | 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。 |
SEA WAYBILL | 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。 |
ARRIVAL NOTICE | 海上輸送の場合、輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。 |
食品等輸入届出済証 | 日本の厚労省食品監視課が発行。 |
※製造工程表及び原材料表は、製造工場の情報を元に輸入者が作成しても良いです。
書類の修正などが発生した場合、現地工場に修正を求めるよりも、輸入者自身で作成したほうがスムーズに進む場合があります。
5.輸入通関「食品等輸入届出」
食品ですので輸入する際には厚労省の食品監視課に対して「食品等輸入届出」が必要になります。
✍食品等輸入届出に必要な書類
書類名 | 書類作成者等 |
---|---|
製造工程表 | 製造工場が作成(※)。 |
原材料表 | 製造工場が作成(※)。 |
インボイス | 輸出者が作成。 |
パッキングリスト | 輸出者が作成。 |
※製造工程表及び原材料表は、製造工場の情報を元に輸入者が作成しても良いです。
書類の修正などが発生した場合、現地工場に修正を求めるよりも、輸入者自身で作成したほうがスムーズに進む場合があります。
✍冷蔵品の場合
- 上記必要書類をもとに《食品等輸入届出書》を作成。
- 輸入する港の管轄の厚労省食品監視課へ、原材料表と製造工程表を添付して申請。
- 食品検査が必要な場合は、食品監視課から検査指示が出ます。指示内容に従って初回のみ検査が必要です。
※初回自主検査は事前に輸入相談をすることで予め知ることができます。
※検査用に少量輸入し、検査合格後に大量輸入を推奨しています。 - 審査後に問題がなければ《食品等輸入届出済証》が発行されます。
食品申請は以上になります。
✍冷凍食品・レトルト食品の場合
- 上記必要書類をもとに《食品等輸入届出書》を作成。
- 輸入する港の管轄の厚労省食品監視課へ、原材料表と製造工程表を添付して申請。
- 冷凍食品、レトルト食品の場合は初回自主検査(冷凍食品規格検査)は必須になります。
❏冷凍食品の規格検査項目
・細菌数
・大腸菌群
・大腸菌(E.COLI)
❏レトルト食品の規格検査
・恒温試験
・細菌数試験
※検査用に少量輸入し、検査合格後に大量輸入を推奨しています。
※検査成績書有効期間は検査成績書発行日から一年(一年過ぎてしまったら更新検査が必要) - 審査後に問題がなければ《食品等輸入届出済証》が発行されます。
食品申請は以上になります。
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6.輸入通関「税関申告」
✍HSコード・関税
代替肉の原材料によってHSコード・関税率が変わります。
❏代替肉(砂糖有り) :2106.10-211 関税率▼
しょ糖が全重量の50%未満
- 基本:28%
- WTO協定:16.8%
- 特別特恵LDC:FREE
- 経済連携協定(EPA):
ASEAN・RCEP(*1):16.8%
フィリピン・ベトナム・豪州:15.1%
TPP11:9.1%
EU・英国:9.2% - 日米貿易協定:9.1%
*1:ASEAN・豪州・ニュージーランド
❏代替肉(砂糖有り) :2106.10-219 関税率▼
しょ糖が全重量の50%以上
- 基本:28%
- 暫定:11.5%
- WTO協定:21%
- 特別特恵LDC:FREE
- 経済連携協定(EPA):
ASEAN・RCEP(*1):21%
TPP11・EU・英国:11.4%
*1:ASEAN・豪州・ニュージーランド
❏代替肉(砂糖なし) :2106.10-221 関税率▼
たんぱく質が80%以上かつ
植物性たんぱくが最多含量、500G未満の小売り用容器入り
- 基本:12.5%
- WTO協定:10.6%
- 特別特恵LDC:FREE
- 経済連携協定(EPA):
ペルー:2.7%
モンゴル:1.3%
TPP11:1.7%
EU・英国:1.8%
RCEP(*1):8.7%
以下全て:FREE
- シンガポール・マレーシア・チリ・タイ
- インドネシア・ブルネイ・ASEAN・フィリピン
- スイス・ベトナム・インド・豪州
- 日米貿易協定:1.7%
*1:ASEAN・豪州・ニュージーランド・中国・韓国
❏代替肉(砂糖なし) :2106.10-222 関税率▼
上記2106.10-221から外れるもの
- 基本:12.5%
- WTO協定:10.6%
- 特別特恵LDC:FREE
- 経済連携協定(EPA):
モンゴル:1.3%
TPP11:1.7%
EU・英国:1.8%
RCEP(*1):9.3%
以下全て:FREE
- シンガポール・マレーシア・チリ・タイ
- インドネシア・ブルネイ・ASEAN・フィリピン
- スイス・ベトナム・インド・ペルー・豪州
- 日米貿易協定:2.5%
*1:ASEAN・豪州・ニュージーランド
※このHSコード・関税は一例です。原材料や製造工程によって他のHSコードになる可能性があります。
※必要に応じて税関の事前教示制度を利用するようにしましょう。
✍輸入通関に必要な書類
書類名 | 書類作成者等 |
---|---|
製造工程表 | 製造工場が作成(※)。 |
原材料表 | 製造工場が作成(※)。 |
インボイス | 輸出者が作成。 |
パッキングリスト | 輸出者が作成。 |
AIR WAYBILL(AWB) | 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。 |
SEA WAYBILL | 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。 |
ARRIVAL NOTICE | 海上輸送の場合、輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。 |
食品等輸入届出済証 | 日本の厚労省食品監視課が発行。 |
※製造工程表及び原材料表は、製造工場の情報を元に輸入者が作成しても良いです。
✍輸入申告
上記の「必要書類」をもとに《輸入申告書》を作成し、必要書類を添付して税関に申告します。
審査が終了し輸入関税・消費税を納税すると輸入許可となり貨物を引き取ることができます。
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7.まとめ
代替肉は、まだまだ日本では出回っていませんが、今後は少しずつ目にするようになると思います。
原材料も複雑になり、日本に輸入したくてもできない原材料を使用している、などの問題にも直面することになると思います。
そのため事前準備・確認がとても重要になります。
輸入する前に必ず調査をするようにしましょう。
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