茶葉の輸入方法

茶葉の輸入方法

世界において、「茶」は水の次に飲まれている飲料と言われています。

清涼飲料水の国内販売額では、お茶全般が1番の販売シェアを占めています。

緑茶の年々の消費量は、リーフ茶は緩やかに減少していますが、緑茶飲料は増加傾向です。

このページを読めば、事前確認や検査方法、進め方などが理解できるようになりますので、茶葉の輸入にチャレンジする方は必見です!

 1.茶の消費・輸入動向 

✍2023年 清涼飲料水の品目別国内販売額シェア

品目 販売額シェア(%)
茶系・紅茶飲料 24.2%
コーヒー飲料 21%
炭酸飲料 17.9%
ミネラルウォーター 9.5%
果実飲料 8.9%
スポーツ飲料 7.9%
野菜飲料、豆乳飲料等 10.6%

※清涼飲料水の国内販売額では、お茶全般が1番の販売シェアを占めています。

✍茶の国内消費動向

緑茶の国内消費量(t) 紅茶の国内消費量(t)
2015年 84,164 15,443
2016年 78,846 15,586
2017年 79,710 14,760
2018年 81,329 15,529
2019年 85,928 16,258
2020年 80,982 18,438
2021年 68,442 14,958
2022年 75,115 17,627
2023年 74,025 14,958

※国内の茶の消費量は全体的に減少傾向です。
 国内総人口数の減少が原因ではないかと推測されています。

✍輸入動向

緑茶の輸入量(t) 紅茶の輸入量(t)
2015年 3,473 15,586
2016年 3,618 14,759
2017年 3,970 15,529
2018年 4,730 16,257
2019年 4,390 18,437
2020年 3,917 14,957
2021年 3,194 17,627
2022年 3,088 14,958
2023年 3,108 13,703

※輸入量も減少傾向です。
 消費量減少と共に、国内生産量が増加したことも輸入量減少の要因と推測されています。

■まとめ

国内総人口数の減少により、茶の消費量は減少していますが、飲料の中では茶が1番需要があります。

 2.茶葉の種類 

お茶の種類はおおまかに分類すると下記の様になります。

タイプ 分類名 具体名(例)
不発酵茶 緑茶 煎茶、玉露、かぶせ茶、番茶、てん茶、玉露茶
弱発酵茶 白茶 パイムータン、ギンシンハクゴウ
半発酵茶 青茶 ウーロン茶、ブイガン茶、スイセン茶
発酵茶 紅茶 アールグレイ、ダージリンティー
後発酵茶 黒茶 プーアル茶

 3.輸入する際の注意点 

✍植物検疫検査

製茶のように高度に加工されたものは植物防疫法の対象外です。

「製茶」とは、乾燥、加熱、発酵等の加工処理(荒茶加工を含む)が行われた緑茶、紅茶、ウーロン茶等をいいます。

未加工品の場合、植物防疫法に該当する為、輸出国が発行したPhytosanitary Certificateの取得が必要となり、

国内に貨物到着後、植物検疫検査を受けなければなりません。

✍原材料の原産国・配合率

食品届出と税関輸入申告書作成の際に、原産国・配合率の確認が必要な場合があります。

確認できる書類を用意しましょう。

※特に茶葉の配合率は必須

✍薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)

■薬効成分があるものに指定されていないか確認

原材料等、薬効成分があるものと指定されている場合、輸入が出来ない可能性が高いため、事前確認が必要です。

参考:薬効成分として使用される成分(植物)リスト

■医薬品に該当するか否か

日本の法令上、口から摂取するものは、医薬品か食品のどちらかに分類されます。

茶葉、ブレンド茶に配合されているハーブ等で、医学的効果効能を謳い医薬品として輸入販売する場合、「医薬品製造販売業許可」が必要です。

また、輸入後、包装・表示・保管を行う場合は「医薬品製造業許可」が必要です。

参考:東京都健康安全研究センター

 4.輸入に必要な書類 

輸入手続きに必要な書類は以下のとおりです。

書類名 書類作成者等
製造工程表 製造工場が作成(※)。
原材料表 原材料名・割合(%)・原産国等の表記が必要です。 製造工場が作成(※)。
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。
SEA WAYBILL 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。
ARRIVAL NOTICE 海上輸送の場合、輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。
食品等輸入届出済証 日本の厚労省食品監視課が発行。
PHYTOSANITARY CERTIFICATE 輸出国の政府機関が発行。原本が必要。
植物検査合格証明書 日本の農水省植物防疫所が発行。※植物防疫法に該当する場合。

※《製造工程表》及び《原材料表》は、製造工場の情報を元に輸入者が作成しても良いです。

 書類の修正などが発生した場合、現地工場に修正を求めるよりも、輸入者自身で作成した方がスムーズに進む場合があります。

 5.輸入通関「植物検疫検査」 

植物検疫該当と判断された場合、輸入植物に病害虫が付着して日本に侵入することを防ぐ為に、輸入貨物を植物防疫所に届け出て植物防疫官の検査を受けます。

✍植物検疫検査に必要な書類

書類名 書類作成者等
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。AWBとも言う。
SEA WAYBILL 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。
PHYTOSANITARY CERTIFICATE 輸出国の政府機関が発行。原本が必要。

✍植物検疫検査の流れ

  1. 貨物到着
  2. 《植物検疫申請書》を作成
  3. パッキングリストを《植物検疫申請書》に添付して植物防疫所に申請
  4. 輸入貨物を保税蔵置場に搬入後、輸入貨物の一部を植物防疫所検査場に移動
    ※保税蔵置所から検査場に移動させる際には保税運送の手続きをします。
  5. 植防官による現物検査(害虫や害虫の卵が付着していないかを検査します)
  6. 検査合格の場合 :《植物検査合格証明書》が発行され、税関申告時に合わせて提出します。
    検査不合格の場合:燻蒸処理をし、害虫や害虫の卵が死滅したのちに、《植物検査合格証明書》が発行されます。
    ※滅却をして、輸入しない場合は滅却承認申請を税関に提出します。
  7. 植防官の検査が終了したら、輸入貨物は保税蔵置場のもとの場所に戻します。

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 6.輸入通関「食品等輸入届出」 

※茶葉は食品なので厚労省の食品監視課に「食品等輸入届出」の申請が必要となります。

✍食品等輸入届出の申請に必要な書類

書類名 書類作成者等
製造工程表 製造工場が作成(※)。
原材料表 原材料名・割合(%)・原産国等の表記が必要です。 製造工場が作成(※)。
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。

※《製造工程表》及び《原材料表》は、製造工場の情報を元に輸入者が作成しても良いです。

✍申請の流れ

  1. 上記必要書類をもとに《食品等輸入届出書》を作成。
  2. 輸入する港の管轄の厚労省食品監視課へ、原材料表と製造工程表を添付して申請。
  3. 審査後に問題がなければ《食品等輸入届出済証》が発行されます。

※法律に適した商材かを確認しなければならないため、原材料情報(原材料名、割合、原産国等)や製造工程について申請する前に確認が必要となります。

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 7.輸入通関「税関申告」 

✍HSコード・関税

❏緑茶(茶葉90%以上、3KG以下の直接包装) :0902.10-000 関税率▼

  • 基本:20%
  • WTO協定:17%
  • 特別特恵LDC:FREE
  • 経済連携協定(EPA)
    ASEAN:5.3%
    インド・ペルー:2.1%
    モンゴル:3.1%
    RCEP(ASEAN・豪州・ニュージーランド):5.3%
    メキシコ・RCEP(中国・韓国):適用なし
    以下すべて:FREE
     シンガポール・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア・ブルネイ
     フィリピン・スイス・ベトナム・豪州・TPP11(CPTPP)
     EU・英国
  • 日米貿易協定:FREE

❏緑茶(茶葉90%以上、最小包装3KG超) :0902.20-200 関税率▼

  • 基本:20%
  • WTO協定:17%
  • 特別特恵LDC:FREE
  • 経済連携協定(EPA)
    ASEAN:5.3%
    インド・ペルー:2.1%
    モンゴル:3.1%
    RCEP(ASEAN・豪州・ニュージーランド):5.3%
    メキシコ・RCEP(中国・韓国):適用なし
    以下すべて:FREE
     シンガポール・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア・ブルネイ
     フィリピン・スイス・ベトナム・豪州・TPP11(CPTPP)
     EU・英国
  • 日米貿易協定:適用なし

❏紅茶(茶葉90%以上、3KG以下の直接包装) :0902.30-010 関税率▼

  • 基本:20%
  • WTO協定:12%
  • 特別特恵LDC:FREE
  • 経済連携協定(EPA)
    インド:1.5%
    モンゴル:2.2%
    RCEP(ASEAN・豪州・ニュージーランド):9%
    メキシコ・RCEP(中国・韓国):適用なし
    以下すべて:FREE
     シンガポール・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア・ブルネイ
     ASEAN・フィリピン・スイス・ベトナム・豪州・TPP11(CPTPP)
     EU・英国
  • 日米貿易協定:FREE

❏紅茶(茶葉90%以上、最小包装3KG超) :0902.40-210 関税率▼

  • 基本:5%
  • WTO協定:3%
  • 特恵GSP:FREE
  • 特別特恵LDC:FREE
  • 経済連携協定(EPA)
    メキシコ:適用なし
    以下すべて:FREE
     シンガポール・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア
     ブルネイ・ASEAN・フィリピン・スイス・ベトナム・インド
     ペルー・豪州・モンゴル・TPP11(CPTPP)・EU・英国
     RCEP(ASEAN・豪州・ニュージーランド・中国・韓国)
  • 日米貿易協定:FREE

❏白茶(茶葉90%以上、3KG以下の直接包装) :0902.30-090 関税率▼

  • 基本:20%
  • WTO協定:17%
  • 特別特恵LDC:FREE
  • 経済連携協定(EPA)
    ASEAN:5.3%
    インド・ペルー:2.1%
    モンゴル:3.1%
    RCEP(ASEAN・豪州・ニュージーランド):5.3%
    メキシコ・RCEP(中国・韓国):適用なし
    以下すべて:FREE
     シンガポール・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア・ブルネイ
     フィリピン・スイス・ベトナム・豪州・TPP11(CPTPP)
     EU・英国
  • 日米貿易協定:FREE

❏白茶(茶葉90%以上、最小包装3KG超) :0902.40-220 関税率▼

  • 基本:20%
  • WTO協定:17%
  • 特別特恵LDC:FREE
  • 経済連携協定(EPA)
    ASEAN:5.3%
    ペルー:2.1%
    モンゴル:3.1%
    RCEP(ASEAN・豪州・ニュージーランド):5.3%
    メキシコ・インド・RCEP(中国・韓国):適用なし
    以下すべて:FREE
     シンガポール・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア・ブルネイ
     フィリピン・スイス・ベトナム・豪州・TPP11(CPTPP)
     EU・英国
  • 日米貿易協定:適用なし

❏青茶(茶葉90%以上、3KG以下の直接包装) :0902.30-090 関税率▼

  • 基本:20%
  • WTO協定:17%
  • 特別特恵LDC:FREE
  • 経済連携協定(EPA)
    ASEAN:5.3%
    インド・ペルー:2.1%
    モンゴル:3.1%
    RCEP(ASEAN・豪州・ニュージーランド):5.3%
    メキシコ・RCEP(中国・韓国):適用なし
    以下すべて:FREE
     シンガポール・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア・ブルネイ
     フィリピン・スイス・ベトナム・豪州・TPP11(CPTPP)
     EU・英国
  • 日米貿易協定:FREE

❏青茶(茶葉90%以上、最小包装3KG超) :0902.40-220 関税率▼

  • 基本:20%
  • WTO協定:17%
  • 特別特恵LDC:FREE
  • 経済連携協定(EPA)
    ASEAN:5.3%
    ペルー:2.1%
    モンゴル:3.1%
    RCEP(ASEAN・豪州・ニュージーランド):5.3%
    メキシコ・インド・RCEP(中国・韓国):適用なし
    以下すべて:FREE
     シンガポール・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア・ブルネイ
     フィリピン・スイス・ベトナム・豪州・TPP11(CPTPP)
     EU・英国
  • 日米貿易協定:適用なし

❏黒茶(茶葉90%以上、3KG以下の直接包装) :0902.30-090 関税率▼

  • 基本:20%
  • WTO協定:17%
  • 特別特恵LDC:FREE
  • 経済連携協定(EPA)
    ASEAN:5.3%
    インド・ペルー:2.1%
    モンゴル:3.1%
    RCEP(ASEAN・豪州・ニュージーランド):5.3%
    メキシコ・RCEP(中国・韓国):適用なし
    以下すべて:FREE
     シンガポール・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア・ブルネイ
     フィリピン・スイス・ベトナム・豪州・TPP11(CPTPP)
     EU・英国
  • 日米貿易協定:FREE

❏黒茶(茶葉90%以上、最小包装3KG超) :0902.40-220 関税率▼

  • 基本:20%
  • WTO協定:17%
  • 特別特恵LDC:FREE
  • 経済連携協定(EPA)
    ASEAN:5.3%
    ペルー:2.1%
    モンゴル:3.1%
    RCEP(ASEAN・豪州・ニュージーランド):5.3%
    メキシコ・インド・RCEP(中国・韓国):適用なし
    以下すべて:FREE
     シンガポール・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア・ブルネイ
     フィリピン・スイス・ベトナム・豪州・TPP11(CPTPP)
     EU・英国
  • 日米貿易協定:適用なし

❏茶の調整品※原材料 茶葉90%未満 :2101.20-247 関税率▼

  • 基本:25%
  • WTO協定:15%
  • 特別特恵LDC:FREE
  • 経済連携協定(EPA)
    モンゴル:2.7%
    RCEP(ASEAN・豪州・ニュージーランド・中国):11.3%
    メキシコ・RCEP(韓国):適用なし
    以下すべて:FREE
     シンガポール・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア・ブルネイ
     フィリピン・スイス・ベトナム・豪州・TPP11(CPTPP)
     EU・英国
  • 日米貿易協定:FREE

❏茶の調整品※原材料 ココア入り :1806.90-220 関税率▼

  • 基本:25%
  • WTO協定:21.3%
  • 特恵GSP:12.5%
  • 特別特恵LDC:FREE
  • 経済連携協定(EPA)
    スイス・豪州:17%
    TPP11(CPTPP)・EU・英国:7.7%
    以下すべて:適用なし
     シンガポール・メキシコ・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア・ブルネイ
     ASEAN・フィリピン・ベトナム・インド・ペルー・モンゴル
     RCEP(ASEAN・豪州・ミュージーランド・中国・韓国)
  • 日米貿易協定:適用なし

❏ハーブティー(茶葉0%) :2106.90-299 関税率▼

  • 基本:25%
  • WTO協定:15%
  • 特別特恵LDC:FREE
  • 経済連携協定(EPA)
    タイ・フィリピン:13.5%
    ASEAN・RCEP(ASEAN・豪州・ニュージーランド):15%
    スイス:17%
    TPP11(CPTPP):1.8%
    EU・英国:1.9%
    以下すべて:適用なし
     シンガポール・メキシコ・マレーシア・チリ・インドネシア・ブルネイ
     ベトナム・インド・ペルー・豪州・モンゴル・RCEP(中国・韓国)
  • 日米貿易協定:1.8%

✍輸入通関に必要な書類

書類名 書類作成者等
製造工程表 製造工場が作成(※)。
原材料表 原材料名・割合(%)・原産国等の表記が必要です。 製造工場が作成(※)。
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。
SEA WAYBILL 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。
ARRIVAL NOTICE 海上輸送の場合、輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。
食品等輸入届出済証 日本の厚労省食品監視課が発行。
植物検査合格証明書 日本の農水省植物防疫所が発行。※植物防疫法に該当する場合。

※製造工程表及び原材料表は、製造工場の情報を元に輸入者が作成しても良いです。

✍輸入申告

上記の「必要書類」をもとに《輸入申告書》を作成し、必要書類を添付して税関に申告します。

審査が終了し輸入関税・消費税を納税すると輸入許可となり貨物を引き取ることができます。

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 8.まとめ 

茶葉の輸入は、茶葉の種類によって該当する法令が別れるため、スムーズに輸入するには全体像を把握し、漏れ無く申請を行う必要があります。

通関業者を選定する際には「植物検疫検査(農林水産省)」と「食品当輸入届出(厚生労働省)」に対応していることを確認しましょう。

また、輸送コストは商品原価の大きな要素です。

茶葉の包装形態(圧縮された状態やティーバック等)によっては容積重量が大きくなる場合があります。

そのため最適な輸送形態を選択することも重要になりますので、複数の輸送提案ができる通関業者・フォワダーとパートナーを組むことも重要です。

進め方に不安や不明点がある方は弊社の国際物流コンサルティングサービスをご検討ください。

アクセス・ジャパンではその不安を一緒に解消しつつ、輸入貿易を成功に導くノウハウをお伝えします。

まずは無料のヒアリングから行いますのでお気軽にご相談ください。

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