生鮮松茸の輸入方法

生鮮松茸の画像

松茸は秋シーズンに集中して輸入されます。

季節商品はピークを外すと翌年度まで待つことになるためミスは許されません。

松茸は食品ですので、一般貨物と比べて若干ハードルの高い商材です。

松茸輸入にチャレンジしたい人、スムーズに輸入したい人は必見です。

 1.はじめに 

秋の味覚の王様、松茸。その芳醇な香りで多くの日本人を魅了しています。

人工栽培が出来ないうえに生育条件も厳しく、収穫量が限られるため高級食材として知られています。

中でも国内産は特に高価となっており、食べたくてもなかなか手が出しにくい食材となっています。

そのような国内産松茸の状況を補うために外国産の松茸が日本に輸入されており、国内産に比べ価格が安いため、国内産の代用品として重宝されています。

今回はそんな「生鮮松茸」の輸入方法についてご紹介します。

 2.外国産松茸の種類・特徴 

✍中国産

南西部の雲南省や四川省、東北の吉林省や黒竜江省などで収穫されています。

見た目は国内産松茸とほぼ同じで、価格が国内産に比べて安いのが魅力です。

収穫してから店頭に並ぶまでに時間がかかるため、香りは国内産に比べると低めで食感は少しやわらかく7月~9月頃が旬となります。

✍韓国産

韓国から輸入されている松茸も中国産同様に輸送に時間がかかるため、香りは国内産に比べて低めで食感も少しやわらかめです。

襄陽という地域が主産地で味わいは輸入品の中で最も国内産に近いといわれています。

✍アメリカ・カナダ産

「アメリカマツタケ」とも呼ばれ、全体が白っぽいのが特徴です。

日本の松茸とは種類が異なりますが香りや味わいは似ています。

香りが強くカサが大きめのものが多いので天ぷらやすき焼き、パスタなどにもおすすめです。

出回り時期は9〜11月頃です。

✍北欧産

主な産地はスウェーデンやフィンランドなどで、近年のDNA解析により日本の松茸と同じグループであることが判明しました。

輸送による香りの低下は若干ありますが、見た目や味、香りは国内産のものとほとんど変わりません。

早ければ8月下旬から出回ります。

✍トルコ・モロッコ産

主な産地は地中海沿岸のトルコや北アフリカのモロッコで「オウシュウマツタケ」といわれています。

スギなどの木に寄生し日本の松茸と種類は異なりますが、色や見た目は国内産と似ていて、価格はお手頃です。

10〜11月頃が旬です。

 3.近年の輸入動向 

生鮮松茸は輸入量、輸入額ともに年々減少傾向にあります。

ここ数年では新型コロナウィルス拡大や燃油費の高騰、円安の影響が大きいようです。

✍生鮮松茸の輸入国比率(2023年)


2023年において、輸入量も輸入金額も中華人民共和国が圧倒的なシェアを占めています。

グラフにあるその他の国は6か国の集まりですが1位には遠く及びません。

✍生鮮松茸過去10年の推移(重量、金額)


2023年時点において輸入量、輸入金額共に1位の中華人民共和国は過去10年間、常に1位です。

しかし、2023年に輸入量は上向いているものの、10年かけて輸入量は減少しています。

その一方で輸入金額はほぼ一定です。

円安や燃油費の高騰などいくつもの要因があると思いますが、結果として単価が上がっていることがグラフから読み取れます。

このような状況ですが、その他の国の中に輸入量も輸入金額も右肩上がりの国があります。

それが、ブータンです。

✍ブータンから輸入の推移(重量、金額)


まず、グラフの単位に気をつけてください。

中華人民共和国と比べれば圧倒的に物量・金額は少ないです。中華人民共和国を100%とした場合、ブータンはわずか2%ほどしかありません。

しかし、右肩上がりです。

ブータンにおける収穫量や品質など確認すべき点は多いと思いますが、今後、無視できない存在になるかもしれません。

 4.輸入する際の注意点 

✍原産地証明書

北朝鮮に対する輸出入禁止措置により北朝鮮周辺国から生鮮の松茸を輸入する場合は《原産地証明書》の提出が必須となります。

この《原産地証明書》が無いと日本に輸入することが出来ませんので、出荷前に必ず輸出者に手配を依頼しましょう。

■原産地証明書の提出が必要となる国:中国、韓国、ロシア、香港及びマカオ
参考:北朝鮮に対する措置の継続に伴う取扱いについて

✍厚労省のモニタリング検査

生鮮松茸は食品なので、厚労省に対して「食品等輸入届出」を行う必要があります。

届け出を行う上で、厚労省によるモニタリング検査は毎回ではないですが、一定の確率で行われます。

生鮮松茸のモニタリング検査では、残留農薬や放射性物質が付着していないか等の確認が行われます。

確認のためには、1シップメントあたり1kgが検体として採取されます。

キロ単価の高い松茸が1kgも採取されてしまうということを、認識する必要があります。

詳しくは後述の7.輸入通関「食品等輸入届出」で解説します。

 5.輸送時の注意点 

生鮮松茸の輸入時期は夏から秋で気温が高い時期と重なるため、非常に繊細な松茸は温度管理がとても重要になります。

航空輸送の場合、航空機搭載までは冷蔵庫に蔵置されていますが、機内では常温となります。
※到着後は再び冷蔵庫に蔵置されます。

常温にさらされる飛行中の機内では、鮮度が低下しないように飛行時間に応じた工夫が必要になります。

一般的には、冷気が逃げないように発砲スチロール箱に十分な保冷剤(ジェルアイス)を入れて商品の温度上昇を防ぐなどの対策をします。

また輸送中に箱の中で松茸同士がぶつかって傷まぬように綿や、紙などで隙間をしっかりと埋めて固定することが梱包のポイントです。

※入れた保冷剤の分だけ重量が重くなり航空運賃も増加しますので、商品の状態とコストのバランスを調整する必要があります。

アクセス・ジャパンでは空港着荷時の商品状態を写真撮影し、ご報告するサービス(有料)がございます。
写真撮影をご希望の際にはお申し付けください。

 6.輸入に必要な書類 

一連の手続きに必要な書類は次のとおりです。

書類名 書類作成者等
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。AWBとも言う。
SEA WAYBILL 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。
ARRIVAL NOTICE 海上輸送の場合、輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。
原産地証明書 中国、韓国、ロシア、香港及びマカオから輸入する場合に必要。
植物検査合格証明書 日本の農水省植物防疫所が発行。
食品等輸入届出済証 日本の厚労省食品監視課が発行。

 7.輸入通関「食品等輸入届出」 

生鮮松茸は食品なので、厚労省の食品監視課に「食品等輸入届出」の申請が必要となります。

✍食品等輸入届出の申請に必要な書類

書類名 書類作成者等
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL(AWB) 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。
SEA WAYBILL 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。

✍申請の流れ

貨物到着前に、上記の書類をもとに《食品等輸入届出書》を作成し、準備をします。

貨物到着後、食品監視課に申請をします。

審査に合格すると《食品等輸入届出済証》が発行されます。

✍モニタリングについて

モニタリング検査とは、

多種多様な輸入食品等の食品衛生上の状況について幅広く監視するため、輸入食品監視指導計画に基づき実施している検査です。

モニタリング検査は、違反の可能性が低い食品について検査を実施し、必要に応じて輸入時検査を強化する等の対策を講じることを目的としています。

生鮮松茸も、当然モニタリング検査になることがあります。

■生鮮松茸のモニタリング詳細は下記のとおりです。

検査項目 頻度 採取量 採取カートン
残留農薬 10回に1回程度
※強化品目になった場合は30%
1kg
  • 輸入箱数50箱以下:3箱
  • 輸入箱数150箱以下:5箱
  • 輸入箱数500箱以下:8箱
放射性物質 1シーズン:1~2回程度 1kg
  • 輸入箱数50箱以下:3箱
  • 輸入箱数150箱以下:5箱
  • 輸入箱数500箱以下:8箱

■補足

モニタリングは食品等輸入届出を厚労省に提出した際に行うか否かが決定されます。

そのため、事前に「今回はモニタリングになる」などの予定がたてられません。

ただし、「今回は売り先が決まっていて、モニタリング用の検体を採取されると困る」と言った事情がある場合は、「次回モニタリングを受ける」ことを条件にキャンセルできることもあります。
※絶対にキャンセルできるわけではないのでご注意ください。

そのうえで、

キロ単価の高い松茸が1kgも採取されてしまうのは、かなりの損害になります。

そこで少しでも損害を小さくするために、低グレード・低単価商品をラインナップで入れておくことをおすすめします。

モニタリング採取の際には、低グレードを提供することで損害を抑えることが可能です。

もう一点気をつけることがあります。

モニタリングは1箱からではなく、最低でも3箱から合計1kg採取されます。
※輸入個数が多くなれば、採取カートンも多くなりますが、採取量は1kgと変わらずです。

ですので、低グレード商品を少なくとも3個以上に分散させてパッキングするようにしましょう!

また、サンプリングの際には、開梱するため商品が外気に触れてしまいます。

アクセス・ジャパンでは、ベテラン作業員が手際よく対応し、品質低下を最小限に抑えます。

輸入の際にはぜひご用命いただけますようお願い申し上げます!

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 8.輸入通関「税関申告」 

✍HSコード・関税 ※2024年

❏まつたけ(生鮮のもの及び冷蔵したもの):0709.55-000

  • 基本:5%
  • WTO協定:3%
  • 特恵GSP:FREE
  • 経済連携協定(EPA)
    RCEP(ASEAN・豪州・ニュージーランド・中国・韓国):1.9%
    以下全て:FREE
     シンガポール・メキシコ・マレーシア・チリ・タイ・インドネシア・ブルネイ
     ASEAN・フィリピン・スイス・ベトナム・インド・ペルー・豪州・モンゴル
     CPTPP・EU・英国
  • 日米貿易協定:FREE

✍輸入申告に必要な書類

書類名 書類作成者等
インボイス 輸出者が作成。
パッキングリスト 輸出者が作成。
AIR WAYBILL 航空輸送の場合、海外フォワダーが発行。AWBとも言う。
SEA WAYBILL 海上輸送の場合、海外フォワダーが発行。
ARRIVAL NOTICE 海上輸送の場合、輸送船が到着する直前に日本の船会社が発行。
原産地証明書 中国、韓国、ロシア、香港及びマカオから輸入する場合に必要。
食品等輸入届出済証 日本の厚労省食品監視課が発行。

上記の書類をもとに《輸入申告書》を作成し、必要書類を添付して税関に申告します。

審査が終了し輸入関税・消費税を納税すると輸入許可となり貨物を引き取ることができます。

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 9.まとめ 

日本人にとても人気のある松茸ですが、とても繊細で取り扱いには細心の注意が必要です。

弊社では長年にわたり生鮮松茸の通関実績が御座いますので、お客様のニーズに合ったご提案が可能です。

進め方に不安や不明点がある方は国際物流コンサルティングサービスをご検討ください。

アクセス・ジャパンではその不安を一緒に解消しつつ、輸入貿易を成功に導くノウハウをお伝えします。

まずは無料のヒアリングから行いますのでお気軽にご相談ください。

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